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'want to lady'   So cry to you..





 金属の摺れる音が耳を苛み、四肢を縫いとめる。
 白金の連なる鎖の戒めは彼女を放さずに、逃れられず、抵抗さえも許されない。手を纏め、足に絡め。すべての動きを封じられて、許されるのは声くらいであろうか。声を上げる事なんて、気高く強い彼女にとって出来る筈もないのに。

 剣を掲げて敵を屠り、その刃を澄ませて襲い掛かる魔物を次々と塵へと返してゆく。
 傷を負えども退く事は無く、背を向ける等以ての外。弱者を救い、王国を護る。――彼女は強く、そして誇り高き騎士。

 それが、どうだろう。戒めは硬く、見るも無残なその堕とされた姿。羽根を?がれ、地を嘗める屈辱。悔しさを咬み締めた口唇には浅い傷。彼女が舐めた口唇は、僅かに鉄錆の薫りがした。
「矢張り似合いますね、崇高なる騎士様?」
 彼女の目前に立つ男はその囚われの姿に満足そうに笑った。その口調はどこかシニカルでばかにしているようで、彼女の神経を逆撫でさせる。紺の法衣に、銀の縫い取り。肌蹴られた胸元から覗く肌は白く、男の銀髪と良く映える。破魔の印である逆五紡星を刻むリングが男の手で淡い明かりを照り返し、にぶく光る。――そう、男は聖職者だった。
 彼女の長い黒髪が垂れ、絹糸を散らすように流れる。キ、と怒りの滾る眸で女騎士は聖職者を見上げて、声音低く唸った。
「……こうでもしないと貴様は女を抱けないのか」
 焔の揺れるその双眸に射抜かれながら、男は肩を揺らして笑う。まるで馬鹿に――否、彼は確かに彼女を馬鹿にしているのだろう。
「ええ、崇高なる我等が救世主様に触れる等と、私には過ぎた事。この様な機会を造らねば、貴女様に私めのような賤しき者はは近寄る事さえ出来ません」
「その人を馬鹿にしたような台詞回しもいい加減にしないか!」
 声を騎士が荒げるたびに、彼女を繋ぐ鎖がじゃらじゃらと揺れる。そうして彼女が動くたびに連なる枷は戒めを強めてゆく。
「ハハ、本当に貴女は気が強い。どう言えば満足してくれるのか」
「こんな状況で満足も何も有ると思うか」
 肩を浅く上下させながらも、何とか声を圧し低めて騎士は聖職者を睨み上げた。怒りと悔しさを押し留めるべく強く噛み締めた口唇は、白い。――誇りを抱き続ける彼女の姿は宛ら囚われの戦女神。背徳の姿は余りにも美しい。
 男はその様子を満足そうに眺めながら、彼女の頬へとてのひらを滑らせた。絹糸のように艶やかなその髪を分け、指先で頬をなぞりながら肌にてのひらを重ねる。冷えた指が、騎士の熱を帯びた頬に触れた。
 それを全力で厭うように騎士は首を振るが、聖職者はそんな所為を関せずと言った風に跪いて彼女の耳許へと指先を伸ばす。ツメ先で軽く擽るように耳裏を撫ぜ、もう片手では彼女の髪先を摘み、愛しむような恭しい口吻けを。
 髪先から頬へと口唇を滑らせて、舌先で頬を舐め上げる。その熱を持つ行為に騎士は瞠目して、低い声音で唸るように言った。
「……私に触れるな、」
「’触れたら死ぬ’とでも?」
 聖職者は嘲笑うように口端を吊り上げて、騎士のその噛み締めて白くなった口唇に触れた。指先を咥内に捩じ込んで抉じ開け、歯と歯の間に入り込ませた。戸惑いと驚きで眼を見開く騎士を尻目に、咥内を嬲るように指先で辿る。舌先を指腹で撫ぜ、口蓋を擽る。
「自害されては堪ったものじゃない。別に私は貴女に死んで欲しい訳で無いのだから」
 咥内を犯しながら額を摺り合わせるまでに顔を寄せ、聖職者は眸を眇めて笑った。その口唇はちいさく呪を呟き、次いで彼女を襲うひどい虚脱感。じゃらじゃらと金鳴る鎖が力を失った四肢を支えて揺れる。
「貴女の声を聴けないのは忍びないが、」
 男のそれが言葉を封ずる呪だと気付いたのは直ぐだった。声を絞り出そうにも、言葉にならない。口を開閉させども、声帯から発されるのは、ヒュウといった風の音だけ。彼女は文字通り言葉を失って、男を見上げた。
「貴女を失ってしまうよりはずっと良い」
 まるで狂った愛の誓い。
 男は口端を歪めて、ちからを失って垂れ、鎖に預けたままになった彼女の利き手である左手を取った。嵌められた銀の縫い取りのグローブを歯で挟み引き摺り外せば、顕われる白い肌。事も無げに口唇をてのひらの付け根に寄せると、強く痕を残すように口吻ける。チ、と強く吸い上げられて、その慣れない感覚に彼女は眉根を寄せて耐えた。
 口吻けから舌先を伸ばし、曝された白い手首を伝い、指先へと舌を這わす。熱を帯びたそれはまるで別の生き物のように彼女の肌をなぞり、薬指まで辿れば咬みつくくらいに強く、根元に痕づけた。紅く咲いた華は、まるで誓いを示す指環のようで。
「貴女が欲しい」
 指先を嬲る舌は真摯な、けれどもどこか狂ったことばを紡ぎ、昏い部屋に堕ちていく。
 触れるたびに鳴り響き、揺れる鎖の音色は徐々に音を深めていって。

 白い狂気は闇へと堕ちて、昏いいろへと染まっていった。



fin




>01 鎖>want to you


 レックスディビーナ。コレ良くプリ攻めゴー缶ネタで使われるんですヨネ。HAHAHA、よくある話。(←…)
 某方に捧ぐ、遅くなりました。

 えろ度が足りない等の指摘は受付未実装です('A`)
 もっとやましいのを書きたい。そんな野望は思うそばから潰えつつ、日々是精進ヾ(`・ω・´)ノ


 2005/0613 sawakei